百人一首「ちはやふる」の意味を知る!映画にもなった和歌の世界を味わう
2018年春に公開された、広瀬すずさん主演の映画『ちはやふる』
元々は、末次由紀さんの少女漫画が原作です。
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この漫画、読んだことがあるのですが、アラフォーの私でさえ熱くなる“かるた漫画”で、主人公のちはやが悩んだりしながら成長していく姿にはホロリときちゃいます。
今回はこのタイトルの『ちはやふる』の意味について、詳しく調べてみましたのでご覧下さい。
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百人一首「ちはやふる」の意味は?
タイトル「ちはやふる」の意味について、下記項目ごとに解説していきますね。- 意味の解説
- 枕詞とは?
- この和歌は屏風歌だった
- ちはやぶる?ちはやふる?
1.意味の解説
「ちはやふる」は、百人一首の中の一つの句が由来となっています。
『千早ぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは』
解説
【読み方】
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは
【意味】
【訳】
さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、こんなことは聞いたことがありませんでした。龍田川が(一面に紅葉が浮いて)美しい真っ赤な紅色に、染まることを。
【歌人】
在原業平(ありわらのなりひら)
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは
【意味】
- 千早ぶる ・・・ 「千(ち/いち)=激い勢いで」「早(はや)=敏捷に」「ぶる=ふるまう」という言葉を縮めたもの
- 神代 ・・・ (太古の)神々の時代
- 龍田川 ・・・ 現在の奈良県生駒郡斑鳩町にある竜田山のほとりを流れる川のこと
- からくれなゐに ・・・ 鮮やかな紅色
- 水くくるとは ・・・ 絞り染めにするという意味
【訳】
さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、こんなことは聞いたことがありませんでした。龍田川が(一面に紅葉が浮いて)美しい真っ赤な紅色に、染まることを。
【歌人】
在原業平(ありわらのなりひら)
この訳を見て、「あれ?ちはやぶるの意味が訳に入ってないけど?」と思った方もいらっしゃると思います。
実は「ちはやぶる」は枕詞と言われるものなのです。
2.枕詞とは?
枕詞(まくらことば)とは、主として和歌に見られる修辞で、特定の語の前に置いて語調を整えたり、ある種の情緒を添える言葉のこと。序詞とともに万葉集の頃より用いられた技法である。
引用元:wikipedia
簡単に言うと、「直接的な意味を持たない言葉」「訳さなくても良い言葉」のことです。
また、ある特定の言葉を導き出すためのものでもあります。
そしてこの「ちはやぶる」の場合は、神様を導く枕詞となります。
神様にかかる言葉・・・すごい言葉ですね!
調べてみたら、「ちはやぶる」から始まる和歌 は他にもありました。
- ちはやぶる 神の社し 無かりせば 春日の野辺に 粟蒔かましを(佐伯赤麻呂の娘)
- ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 今はわが名は 惜をしけくも無し(柿本人麻呂)
- ちはやぶる 神の斎垣に はふくずも 秋にはあへず うつろひにけり(紀貫之)
- ちはやぶる 神や切りけむ つくからに 千歳の坂も 越えぬべらなり(僧正遍照)
どれも次に「神」という言葉が続いています。
参考までに、その他の枕詞もいくつか挙げておきますね。
※左が枕詞、右が続く言葉です。
- 朝霧の(あさぎりの)・・・ おほに、乱る、思ひまどふ、八重、立つ
- 紅の(くれなゐの)・・・ 色、うつし、ふりいづ、あさ
- 玉の緒の(たまのをの)・・・ 長し、短し、絶ゆ、継ぐ、乱る、うつし、命 など
- 八雲立つ(やくもたつ)・・・ 出雲
「八雲立つ」などは、聞いたことある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
こういった言葉遊びが、日本語や和歌の魅力でもありますよね。
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3.この和歌は屏風歌だった
また、この歌は「屏風歌」で、屏風歌とは、屏風に描かれた絵に合わせて、つくった和歌を脇につけたもののことを言います。
屏風と歌とセットのもの、ということですね。
この歌は、清和天皇の女御(側室)である二条の后の屏風(竜田川に紅葉が流れている絵が描かれているもの)を在原業平が見て、付けたものです。
普通に詠むと、風景を詠んだ和歌のようですが、実は熱烈なラブレターだとも言われています。
それは何故かと言いますと、作者の在原業平は、二条の后に恋していたらしく、その后に「まだ私はあなたのことを思っています」という意味がある・・・らしいのです。
言われてみれば・・・で、美しい紅葉は妙に色っぽい表現で、美しい景色に好きな人のおもかげを見たのかな、とも思えます。
そんな在原業平は、平安時代を代表する美男子で恋多き男性で有名でした。
そんな美男子が、素晴らしい和歌を自分のために詠んでくれた・・・とあらば、平安時代の女性はあっという間に心を奪われてしまったのではないでしょうか?
きっと会話も機知に富んで、華やかな雰囲気だったのでしょうね~。
百人一首の「恋の歌」に関しては、こちらの記事をどうぞ↓
『百人一首の恋の歌の意味まとめ!切ない歌から両想いのものまで大紹介』
4.ちはやぶる?ちはやふる?
百人一首は「ちはやぶる」ですが、映画では「ちはやふる」となっています。調べてみると、元々この歌の詠み方自体、清音(ちはやふる)だったり、濁音(ちはやぶる)だったりしたようです。
この歌を元にした落語は「ちはやふる」ですし、万葉集にも清濁両方が載っているそうで、どちらが正しい!とは簡単に結論が出せない問題なのです。
ただ、近代の万葉集研究の中で、勢いの強い・勇猛な意味を有する「ちはやぶ・いちはやぶ」が語源と考えられたことで、濁って読む方が主流 になったようです。
確かに、濁音の方が勢いがある感じを受けます。
ですので、どちらが正しいの?というのは、今の段階の研究では結論は出ていませんが、濁音の方が主流・・・ということです。
さて、原作の「ちはやふる」ですが、このタイトルは、この歌が由来とされている・・・とあります。
逆に言うと、由来だけであり、まんまこの歌の最初の五文字を使う必要もないので、作者の末次由紀さんが単純に「ちはやふる」の方がお好みだった・・・ということもあると思います。
あとは勝手な私の意見ですが、主人公の千早の性格や、10代の少女の清純さを表現するには清音の方がふさわしいのでは?と思っています。
この歌を読み上げた動画があったので貼っておきます^^
リズムや読み上げ方とか、美しいですね。
それでは次に、映画『ちはやふる』 について、書いていきますね。
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映画『ちはやふる』とは?
映画『ちはやふる』について、下記項目ごとにご説明していきますね。- 映画『ちはやふる』は全部で何タイトル?
- キャストは?
- 原作について
1.映画『ちはやふる』は全部で何タイトル?
2018年5月現在、全部で3本公開されています。- 『ちはやふる -上の句-』2016年3月19日公開
- 『ちはやふる -下の句-』2016年4月29日公開
- 『ちはやふる -結び-』2018年3月17日公開
私はまだ「結び」だけ未見です^^早く見たい!
2.キャストは?
キャストは以下の通りです。- 綾瀬 千早 ・・・ 広瀬すず
- 真島 太一 ・・・ 野村周平
- 綿谷 新 ・・・ 真剣佑
- 大江 奏 ・・・ 上白石萌音
- 西田 優征 ・・・ 矢本悠馬
- 駒野 勉 ・・・ 森永悠希
- 須藤 暁人 ・・・ 清水尋也
- 木梨 浩 ・・・ 坂口涼太郎
- 若宮 詩暢 ・・・ 松岡茉優
- 宮内 妙子 ・・・ 松田美由紀
- 原田 秀雄 ・・・ 國村隼
- 綿谷 始 ・・・ 津嘉山正種
- 周防 久志 ・・・ 賀来賢人
- 綾瀬 千歳 ・・・ 広瀬アリス
ちはや役の広瀬すずさん はイメージにぴったり!
あらたくんは最初「真剣祐さん?イメージとちょっと・・・」と思ったのですが、出来上がりを見たらgood!
ライバルのクイーン若宮詩暢役の松岡茉優さんもばっちりで、これは見たい!と思わせてくれるキャスティングでした。
そしてちはやの姉役には、広瀬すずさんのお姉さんである広瀬アリス さんが!
姉妹ともに美人さんですからね・・・最強の姉妹役ですよね。
映画『ちはやふる上の句、下の句』の予告、貼っておきますね^^
パフュームの曲とも合ってますよね!
広瀬すずさんのはかま姿も美しいし、娘に競技かるたして欲しい~と思っちゃいました。
3.原作について
冒頭でも書いたとおり、原作は末次由紀さんの少女漫画「ちはやふる」です。末次由紀さんはこの作品のことを、
「“勢いの強いさま”という“ちはやふる”の本当の意味を、主人公が知り表現していく物語なのだと思う」
引用元:wikipedia
と仰られています。
10代の熱い感情や行動、勢いなどを表現しながら成長していくお話なので、まさにぴったり、だと思いました。
「ちはやふる」の小説版がありました。漫画では描かれてない中学生時代が書かれています^^
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百人一首のルールについては、こちらに詳しく書いています↓
『百人一首のルールを簡単に解説!難しくないから誰でも楽しめるよ』
まとめ
いかがでしたでしょうか?百人一首『ちはやふる』の意味について、まとめてみました。
- 「ちはやふる」は、百人一首の中の一つの句が由来となっている
- 「ちはやぶる」とは神様にかかる枕詞で訳さない
- 今は濁音読み(ちはやぶる)が主流
- 風景のことを歌っているが、実はラブレターでもある、と言われている
- 作者の在原業平は、平安時代を代表する美男子で恋多き男性で有名だった
百人一首を知っていろいろと調べるようになり、昔の日本人の言葉遊びの上手さにただ感嘆するばかり・・・です。
31文字と、決められた次数の中で自分の気持ちを表現し、それを遊びや競技として楽しむというのが本当に素晴らしいと思いました。
もっと他の歌についても調べていきたいと思います^^
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